海と山に囲まれた自然豊かな場所、小浜市。海沿いには魚市場や海産物加工をする工場もあり、人々は海の恵みに感謝して日々を過ごしている。そのような小浜の地で、海の恵みを誰よりうけ、海に詳しい漁師さんがいる。その漁師さんにお話をきくため、私たちは宇久という場所を訪れた。
宇久は小浜の北の方にある山と海に挟まれた漁村である。今回私たちはお話を聞くのに加え、宇久漁港で堤防釣り、船釣りを体験した。
堤防釣りでは、足元にいる魚をねらった胴突き仕掛けを使って釣りをした。餌はアオイソメとオキアミで、時々まき餌もしながらベラ、カワハギ、根魚などを釣った。朝八時に集合して釣りを始めたが、その時間には既に多くの釣り人がおり、海の豊かさを実感した。2時間ほど陸で釣りをしたのち、さらに大きな魚を狙って船に乗って釣りもした。大きなキジハタが釣れるとのことで、堤防釣りで使った胴突き仕掛けで大物を狙う。釣り経験者に説明を受けながらやってみると大きなカサゴやキジハタ、ベラが釣れた。船釣りはもっと沖にでて大きなマグロやカツオを釣るイメージがあり、根魚は陸から岩場で狙うイメージだったので船でたくさん釣ることができて驚いた。

釣りのコツやポイントを説明し、さらに船も出してくださった漁師さんが宇久で漁師をしている浦谷俊晴さんだ。浦谷さんは宇久定置網代表取締役兼小浜市の漁業組合の会長で小浜の海に長く関わってきている。2023年の9月までは宇久で旅館もやっていたそうでリピートも多く盛況していた。旅館の料理はどれも新鮮な魚が使われており、締め方や材料にこだわった浦谷さんの料理は有名な和食の巨匠をも虜になったと聞き、本当にすごい人なのだと実感した。
実際に釣れた魚とその日の定置網で捕れた魚を食べたときに感動した。コツを聞いてみると、魚は捌いたら洗って10分ほど塩漬けにし、お湯で洗い流すことでヌメリと臭いを落とし、保存力を高めること、食べる時間から逆算して締めることで新鮮な魚を提供することなどだそうだ。しかし、一番大切なのは愛だという。料理は気持ちで「おいしく食べてほしい」と思って調理することが何より大切だと浦谷さんは言う。技術を習得するのは時間もかかるし大変なことだが、気持ちを込めることや愛を持って食材を扱うことは誰でもできることだと思うので見習いたいと思った。


福井県立大学 杉山実優
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