
小浜駅を出て正面の通りを西へ10分ほど歩くと、海沿いに建つ宿泊施設、『サンホテルやまね(以降、『やまね』)』がある。
落ち着きのある佇まいで旅人たちを迎えてくれる『やまね』の最大の魅力は、和室で統一されたレトロな客室。客室のひとつを見せてもらうと、襖を開けた瞬間に畳のいい香りが印象的だった。ホテルスタッフの中尾さんにお聞きすると、「建物は古いですけど、うちは清掃に力を入れていますから畳のいぐさも定期的に新しくするんです」と、笑って答えてくれた。静かな立地で、畳の香りも良く、温かみのある客室は、どこか懐かしささえ感じられた。
この客室にはもうひとつ見どころがある。それは、西側の窓から見える小浜湾の海だ。海に面した建物であるため景色を阻むものは一切無く、そのため広く穏やかな海をこの部屋から一望することができる。
また、『やまね』の客室は夏には小浜市の花火大会の名スポットとなる。客室の窓から海上で打ち上げられる花火が目の前で楽しめるのだ。夏の夕陽に部屋が赤く染まったあと、夜を花火の色彩が彩る。『やまね』で過ごすそんなひと時は、きっと忘れられない極上の時間となるだろう。

『やまね』では、季節に合わせた様々な形の食事も楽しむことができる。若狭の新鮮な食材を活かした懐石料理をメインに、11月からの冬の時期には期間限定で蟹やフグを使った旬を味わうことができるコース料理も提供される。
いずれの食事コースも料理長が自ら素材を厳選し、仕入れも行っている。きっと味も見た目もこちらの期待を越えていくことだろう。さらに宿泊しなくとも、食事のみ楽しむこともできる。しかも、予算に応じた料理を作ってくれるという非常に柔軟なサービスも『やまね』の粋なところである。少し贅沢なランチやディナーを、普段頑張っている自分へのご褒美にしてみてはいかかがだろうか。
福井県立大学 田中佑布子
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