美しい海を背景に人魚の像が飾られているマーメイドテラスを右手に、そこから小浜駅に向かう通りを歩く。郵便局を通り過ぎると、暖簾がかかる一軒のお店が見えてくる。中に入ると、和菓子と洋菓子が並んだショーケースが目に入る。

ここは「御菓子司 木屋傳(きやでん)」。プリンやロールケーキなどの洋菓子から、わらび餅やお店の名物の酒饅頭まで、多彩なお菓子を手がける。
お話を伺ったのは、店主の木村隆夫さん。もともとは洋菓子の制作から始めたが、今では和と洋どちらも入り交ぜたコンセプトで提供しているとのこと。
「お客さんから美味しいといわれることや、お客さんとの関わりの中から、やりがいを見つける」と語る一方で、お菓子製造一筋では、材料費の高騰やコストの面から経営の厳しさに直面しているともおっしゃっていた。
それでも、「自分の感性を常にアップデートするため、本や写真で審美眼を学んで、何度も試作を行っている」とお菓子制作に対しての熱い姿勢を語ってくれた。
最後に、木屋傳の魅力についてお伺いしたところ、「自分ではなくお客さんが感じるもの」と控えめな言葉が返ってきた。
小浜の海沿いにある一軒のお菓子屋さんに、お客さん目線に寄り添い、心を込めたお菓子を作り続けているという、あたたかく美味しいストーリーがあることを知り、小浜がますます素敵な街に感じた。
福井県立大学 木下百香
木屋傳
住所:〒917-0069 福井県小浜市小浜白髭42
営業時間:9:00~19:00
定休日:水曜
電話:0770-52-0565
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