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伝統の味を守り続ける上杉商店の小鯛のささ漬け

福井県小浜市の特産品「若狭小浜小鯛ささ漬」。福井を代表する土産品として、全国各地で親しまれている。その伝統の味を守り続けているのが「上杉商店」だ。今回、地域を支える名産品の魅力を探るため、上杉商店を取材した。

創業以来の歴史を感じさせる小さな工場からは、外にいても伝わるほどの熱気があふれていた。ここで作られている「小鯛ささ漬」は、レンコダイという小ぶりな鯛を三枚におろし、塩と酢で味付けをして、杉の樽に詰めた小浜市の伝統的な水産加工品だ。さっぱりとした味わいと美しい見た目が特徴で、福井県を代表する名産品として親しまれている。

取材に応じてくださったのは、上杉商店代表の上杉耕一郎さんと、取締役である上杉明子さんご夫妻。お二人とも明るく朗らかなお人柄で、どんな質問にも快く丁寧に答えてくださった。

上杉耕一郎さんと明子さんご夫妻。明るく丁寧な語り口が、お店の温かさそのものだった。

上杉商店の創業は、小浜の海の恵みから生まれた。当時の小浜市ではレンコダイが大量に水揚げされていたが、その活用方法が課題となっていた。そこで生まれたのが、小鯛を酢で締めて保存性を高める「ささ漬け」である。こうした流れの中で、上杉商店でもささ漬けの製造が始まった。
現社長・上杉耕一郎さんの父が製造の基礎を築いたが、若くして他界。その後、母が後を継ぎ、店を守り続けてきたという。現在の上杉商店は、その努力の積み重ねの上に成り立っている。

味付けは創業当時から変わらない、塩と酢だけのシンプルなものだ。しかし、その配分こそが味を左右する最も重要なポイントだという。また、仕込みには地下水からくみ上げた「雲城水(うんじょうすい)」を使用している。
雲城水とは、小浜市内でくみ上げられる地下水のことで、まろやかで雑味の少ない水として知られている。若狭地方は古くから良質な水に恵まれた地域でもあり、その水が小鯛ささ漬けの繊細な味わいを支えているのだ。材料が少ないからこそ、水にも徹底的にこだわっていると語ってくれた。

実際に工場を見学させていただくと、その手際の良さに驚かされた。中には40年近く同じ作業を続けている職人の方もおり、一つ一つの動きから仕事への誇りが伝わってくる。
レンコダイのうろこや頭を取り除く下処理から、杉樽に詰めて商品として仕上げるまで、すべてが手作業で行われていた。さらに印象的だったのは、工場内に魚特有の強いにおいがほとんど感じられなかったことだ。清潔感があり、日頃から清掃にも力を入れているという。安心・安全な食品づくりへの姿勢が、工場の隅々から伝わってきた。

すべて手作業で丁寧に仕上げられていく小鯛ささ漬。職人の動きひとつひとつに、長年培われた技と誇りが宿っている。

近年は、地球温暖化による海水温の上昇の影響で、原料となるレンコダイの漁獲量が減少している。そこで現在、福井県立大学海洋生物資源学部と連携し、「キダイの完全養殖」に挑戦している。安定した原料確保の体制を築くことで、代々受け継がれてきた小鯛ささ漬の味を守りながら、時代の変化がもたらす課題にも真正面から取り組んでいる。

地元の福井県立大学だけでなく、小浜市内の小学生の工場見学や高校生のインターンシップも受け入れており、次世代に小鯛ささ漬の伝統の味や製造のこだわり、地域の文化を伝える取り組みも積極的に行われている。

小鯛ささ漬は、昔からの味と手仕事の技を守りながら、時代の変化にも柔軟に向き合っている。伝統の味を絶やさず、地域の文化やものづくりの大切さを次世代に伝えようとする情熱が、上杉商店の工場の隅々から伝わってきた。

福井県立大学 海洋生物資源学部 北野杏

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福井県立大学 海洋生物資源学部 学生チーム 小浜市内の丘の上にある福井県立大学海洋生物資源学部の学生が、小浜のことをもっと知るためにキャンパスを飛び出しました。縁あって全国各地から小浜に集まり、巣まう私たちには、まだ知らない小浜の魅力がたくさんあるはず。“大学生から見た小浜の魅力“を発信します。

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