角野さんのへしこの秘密

苦くて、大人の味というのが小学校の頃、はじめて食べたへしこの印象だった。しかし、角野さんの作るへしこは、鯖の脂と丁度よい塩味で、苦味など一切なくとても食べやすい、鯖の旨味がぎゅっと詰まった、私の中のへしこの概念が変わるものだった。
なぜこんなにおいしいへしこをつくることができるのか。角野さんのつくるへしこの秘密は何なのかを探りたいと思う。

まず、1つ目は鯖のこだわりだ。私は角野さんへのインタビューのなかで、鯖へのこだわりがとてもすごいと感じた。角野さんはへしこにする鯖を選別するのにまず鯖のサンプルを取り寄せる。そして自分の舌でその鯖の脂ののり具合を確かめる。また、身を切り開いて自分の目で身の色具合を確認し、良いと思った鯖を購入しへしこに加工する。このように角野さん自身の五感をフル活用して、へしこに加工するのにふさわしい鯖を選別しているのである。
次に、2つ目は古くからの伝統の製法を守るという角野さんの思いだ。最近、健康志向の高まりより減塩が注目されるなか、へしこ業界でも塩の量を減らして代わりに調味量を入れるところがある。しかし調味料を入れるとあまり発酵していなくても発酵したかのような味になる。おいしいが鯖本来のうまみがしっかりでてこない。角野さんは鯖本来のうまみを活かすためにも塩は昔からの30%で、あとはぬかと唐辛子のみでへしこをつくり続けている。

まだ他にも角野さんのへしこづくりへのこだわりはたくさんあり、このような小さなこだわりの積み重ねで他にはない、特上のへしこがつくられているのである。
最後に角野さんのつくるへしこは薄く切って刺身と焼きでいただいてほしい。刺身ではへしこ本来の旨味となめらかな舌触りを楽しんで、焼きでは香ばしい香りと焼かれたことによってよく感じられる鯖の脂を楽しんでほしい。しかし一口で食べるのではなく少しずつ齧って味わって食べるのがポイントだ。
角野さんのつくる、極上のへしこは、今へしこが苦手だと感じている人に是非食べてほしい。きっとへしこの概念が変わるはずだ。

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