水産の未来をつなぐ架け橋
ふくい水産振興センターを訪ねて
2025年11月1日、私は福井県小浜市の水産学術産業拠点「かつみ水産ベース」にある「ふくい水産振興センター」を訪れ、施設見学と職員へのインタビューを行った。
対応してくださったのは、水産試験場 企画・先端研究部(ふくい水産振興センター事務局)新卒入社の渡部景子さんと、長年現場を支えてきた北山和也さん。
渡部さんは年齢が近いこともあり、話しやすい雰囲気があり、小さな疑問も気軽に聞けた。
会話を重ねる中で、目を輝かせて語る姿が印象的だった。本当にこの仕事が好きで、楽しんで取り組んでいるのだと感じた。
現場と研究を支える拠点
センターでは、魚類資源の調査や養殖技術の研究に加え、漁業者や企業からの相談窓口としての役割も果たしている。
北山さんによると、相談に訪れるのは必ずしも水産分野の企業だけではなく、これまで水産とは関わりのなかった企業が、水産事業に参入したいという相談も多いという。
また、養殖の現場は大規模企業だけでなく、民宿が宿泊客向けの食事用にイカダで魚を飼育するなど、個人単位で営まれていることも多いと北山さんは話す。
こうした多様な現場に対応するため、センターは技術や知識の提供を行い、地域の水産活動を支える架け橋となっている。

想像とは違った水産の現場
施設に入る前は、水産系の施設と聞くと「生臭くて、べとべとしていて、騒がしい」というイメージを抱いていた。
しかし、実際はまったく異なる。
匂いはほとんどなく、水槽は清潔に保たれ、魚たちは透明な水の中を悠々と泳いでいた。
日光に照らされたアオサは、まるでインテリアのように美しく、幻想的でさえあった。
研究施設というより、静かな“海のギャラリー”のような印象を受けた。
北山さんが語る「牡蠣の力」
取材の中で特に印象に残ったのは、北山さんが語った牡蠣の話だ。
「牡蠣には海を浄化する作用があります」と北山さん。
牡蠣は海水中のプランクトンや有機物を取り込みながら成長し、結果的に水質をきれいにする。
「牡蠣の養殖は、生産だけでなく環境の保全にもつながっています」と北山さん。
水産業が単なる食材生産にとどまらず、海そのものを守る営みであることを改めて実感した。
地域と産業を支える技術普及
センターでは、研究成果を地域に還元するための産業支援活動も行っている。
具体的には、コーディネーターを活用した技術支援や導入サポート、県内外の民間企業や大学からの情報収集・技術導入の支援、
市町や民間企業との連携調整など、地域の水産活動を支える取り組みが進められている。
また、放流・養殖用の種苗を地域のニーズに応じて一括調達・供給し、飼育や放流の指導助言、魚病対策なども行っている。
こうした活動を通して、センターは地域の水産業と研究をつなぐ橋渡しとして機能している。

取材を終えて
静かな水槽の中で光を受けて泳ぐ魚たちの姿を思い浮かべながら、私は“海を支える研究”の意味を改めて考えた。
ふくい水産振興センターは、研究・技術・環境・地域をつなぐ拠点であり、
そこには海への敬意と、未来に向けて豊かな海を守ろうとする強い想いが息づいていた。
北山さんと渡部さんの話を聞き、水産の現場の多様性や奥深さを感じると同時に、本当にこの仕事が好きな人たちが支えていることを強く実感した。
福井県立大学 山田花音
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