ふくい水産振興センターの役割
2025年11月1日に私は福井県小浜市にある、「ふくい水産振興センター」に取材を行った。この施設は主に、福井県の水産関係者と大学や行政機関、民間企業などの連携を手助けする橋渡し役や地域の課題解決、大学・民間企業との共同研究などを行っている。今回の取材では、ふくい水産振興センターの研究員である北山和也さんと渡部景子さんに案内をしていただき、施設内にある技術開発棟を見学させてもらった。この技術開発棟は、内部が多くの水槽で埋め尽くされており、個々の水槽はそれぞれ別の研究で用いられている。ここで行われている研究は、養殖用の種苗生産に関することが多く、そのほとんどは大学や民間企業と共同で行っているものである。水槽で研究されている種は8割程度がサバで、サバに関するお話を多く伺うことができた。

北山さんのお話によると、かつて小浜はサバの漁獲で有名であったが近年では減少傾向にあり、それを復活させたいという地域住民の思いから、サバの種苗生産に関する研究が多く進められるようになったそうだ。
福井県立大学のサバ養殖に関する研究もここで行われており、近年問題になっている高水温に耐えることのできるサバの開発を行っている。水槽の近くにボイラーがあり、それを用いて水温を調節して実験を行うそうだ。
一昨年には小浜の養殖ブランド魚で、酒粕を餌に配合して育てられたサバである「小浜よっぱらいサバ」が夏場の高水温により大量死する事例が発生しており、このような地域の問題を解決するために研究が進められている。また、技術開発棟では、もう一つの地域の問題を解決するために、ウニに関する研究が行われている。

施設内に円形の水槽があり、そこではムラキウニが飼育されていた。ここで行われている研究はウニを採捕するための罠の開発である。研究員の渡部さんによると、現在、ふくい水産振興センター周辺ではムラサキウニの増殖が問題となっており、漁業者がそれを効率よく捕獲するための罠を開発しているそうだ。水槽内の石やブロックは、ウニが実際に生息している岩礁帯を再現するためのものである。
ムラサキウニは藻類を餌とするため、増殖しすぎると「磯焼け」と呼ばれる藻場の消失を引き起こす。藻場の消失は酸素濃度の低下などを引き起こし、他の生物種にも大きな影響を及ぼしてしまうため、重要な課題である。私も以前、福井県高浜町の漁港へ行った際に、陸から網で簡単に採捕できる距離に数十個体のムラサキウニを見かけたことがあり、ムラサキウニの増殖を実感した。この経験からも、まさに今、地域のために必要な研究なのだろうと考えた。
ふくい水産振興センターでは様々な研究、開発を行っているが、その多くが水産業の抱える課題を解決するためのものである。今回の取材を通して、ふくい水産振興センターは、天然資源に依存している日本の漁業を、持続的なものにするために必要不可欠な事業を行っており、未来の漁業の土台を作る役割を果たしていると感じた。
福井県立大学 五十嵐有己
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