魚とともに
福井の水産物といえばカニが有名だが、魅力はそれだけではありません。福井県の小浜、海産物とともに歩んできた歴史ある港町です。そんな小浜では今も昔も特にサバの影響を多くうけています。
古くはとれたてのサバを京の都まで盛んに運ばれるほどです。今でもサバのへしこなどの特産品もあり、小浜とサバは切っても切り離せない関係にあります。そして、そのサバをはじめとした小浜の魚は、地元の漁師さんをはじめとしたさまざまな人を支えています。
漁師、釣り人、観光客、国や県の職員など。彼らは魚を通じて生活したり楽しんでいます。魚が小浜の地で人と人の結びつきをつくっているということになります。私は小浜にきて半年ほどたちますが、一番小浜の魚が愛されていることを感じた場面は私のアルバイト先であるコンビニでのことです。
特に夏の暑い時期、京都や大阪、名古屋方面から多くの釣りを愛する人や地元の船長がきてくれます。ある船長は、雨風が強くて船を出そうか微妙な時も「湾内だけでもお願いします」と懇願されるほど熱心な釣り人も多いのだと、レジでよく話してくれます。
そんな今も昔も人を支えている魚が温暖化をはじめとして大きな危機に直面しています。魚にとって水温とは生きていくうえで非常に大事な要素となっています。だんだん今まで獲れていいた魚が獲れなくなり、逆に温暖な場所で生息している魚が北上してきています。つまり、地域の伝統的な魚が獲れなくなってきています。
今回取材に伺ったのは「ふくい水産振興センター」です。一見外からでは何をやっているのかわからない施設ですが、主にサバやウニを種苗生産している試験場です。案内してくれたのは北山さんと渡部さんです。試験場入ると、まず見えてきたのは8つほどの大きな円形のサバの水槽です。水槽の中をのぞくと、多くのサバが水の流れに乗ってぐるぐると泳いでいます。サバの種苗生産では、温暖化の影響下での生産時期の調整を目的としており、水槽がいくつもあるのは、稚魚の段階の違いや水温条件の再現の違いによるものだと北山さんが話してくれました。水温が約28℃になると暑さでサバの平衡感覚が鈍り、死んでしまう個体が多くなること、また24℃ほどになるとサバの寄生虫が最も活発になることがわかった、という話もしてくれました。

奥のほうには、ムラサキウニが入った水槽やその餌となるアマモの水槽がありました。ムラサキウニは磯焼けの原因となって厄介者扱いなのにもかかわらずまだわかっていないことが多く、美味しい料理に応用して漁場と家庭のどちらにも恩恵を受けられるように試行錯誤していることを渡部さんが話してくれました。

ふくい水産振興センターは水温変化に応じた生産時期の調整の研究などを行い、将来もサバを獲り続ける環境をつくる取り組みで、サバをはじめとした水産物を必要とする漁師・釣り人・観光客・地域の食文化を守ることにつながるのに貢献しています。また、小浜の海と魚を未来につなぐ中心として機能することで地域の人々がこれからも魚と関わり続け、小浜の漁業、文化、観光が維持されていくことに貢献しています。
小浜の魚と人との深い結びつきは、地域の歴史と文化を形づくってきました。しかし温暖化など環境の変化はその基盤を揺るがしています。だからこそ、産・官・学が連携した新たな取り組みが、小浜の海の未来を次世代へつなぐ大きな力になろうとしています。
福井県立大学 竹内孝介
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