あのわくわくが再び。―ふくい水産復興センターで感じたこと―
福井県小浜市に関する情報発信の記事を作成するため、「ふくい水産振興センター」を取材訪問した。
私自身、小浜市の出身であり、小学生と高校生の頃に授業の体験学習でこの場所を訪れたことがある。大学生となった今、今回が三度目の訪問だ。
山と海、豊かな自然に包まれるようにして佇む小さな建物は、長い年月を経て味わい深い風格を漂わせている。その姿を目にした瞬間、まるで小学生の頃に感じたあのわくわくした気持ちが胸の奥からよみがえってきた。
福井県水産試験場は、「内水面総合センター」「海洋資源研究センター」「栽培漁業センター」という三つの拠点で構成されている。そのうち、栽培漁業センターの中で水産試験場の企画・先端研究部として運営されているのが「ふくい水産振興センター」だ。
今回お話を伺ったのは、今年入社されたばかりの渡部景子さん。
渡部さんは2025年3月に大学を卒業したばかりで、私と年齢も近い。明るい笑顔と気さくな人柄で、どんな質問にも丁寧に答えてくださった。
福井県の嶺南地方では、養殖業が盛んに行われている。
ふくい水産振興センターでは、地域の水産業を支えるため、さまざまな企画や研究が日々進められている。
今回、渡部さんが担当しているムラサキウニの研究について、実際の試験場で見せていただいた。
ムラサキウニは、磯焼けの原因となることから、地元の漁師さんたちが「どうにかならないか」と相談を持ちかけたことをきっかけに、研究が始まったという。
漁獲の対象とならないムラサキウニを回収し、地域の民宿などで提供できる食材として活用するための取り組みだ。

丸型の水槽には、研究の工夫が随所に見られた。たとえば、ウニを効率的に捕まえるための手作りの罠が設置されており、日々の試行錯誤の跡が感じられた。
また、ムラサキウニの餌となるアオサを増やすための丸型の水槽も隣に置かれており、水が水槽内を循環する仕組みになっていた。
アオサが水槽内をふわりと流れ続けるのを見て、「きれいですね」と声をかけると、渡部さんは微笑みながら「水を循環させることで酸素が増えて、アオサが育ちやすくなるんですよ。」と教えてくれた。
渡部さんは埼玉県のご出身で、養殖業に未来の可能性を感じ、「ふくい水産振興センター」に就職されたという。
いきいきと楽しそうに研究内容を説明する姿が印象的だった。
その姿を見て、私の地元・小浜市の水産業は地元の人たちだけでなく、こうして県外から興味を持って集まってきた方々によっても支えられているのだと実感した。
取材を終えて外に出ると、潮の香りを含んだ風が心地よく吹き抜けた。目の前に広がる小浜の海は、私が小さい頃から親しんできた変わらない風景だが、その裏には多くの人の努力と研究が息づいている。
ふくい水産復興センターで行われているムラサキウニの研究も、まさに地域の海と未来をつなぐ挑戦の一つだと感じた。
私は現在、地元の福井県立大学で水産について学んでいる。研究の現場で働く渡部さんの姿を見て、授業で学んでいることが、実際に地域の課題解決へと結びついていることを実感した。小学生の頃、この場所で感じたわくわくした気持ちは、水槽の生き物がただ面白く、目の前の光景に心が躍るような純粋な気持ちだった。しかし今回の取材で胸に広がったわくわくした気持ちは、学びを通して地域の海と未来が自分の中で結びつき、そこに自分も関わっていけるかもしれないという新しい期待から生まれたものだった。
海を守り、未来へつなぐための新しい試みが、ここ小浜から広がっていく――そんな可能性を感じる取材となった。
福井県立大学 北野杏
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