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敷居は低く、クオリティは高く 〜手と手をつなぐ、小浜の「てとてとお菓子」〜

てとてと 名前に込めた思い

福井県小浜市の生守に、2023年5月にオープンした洋菓子店「てとてとお菓子」。店主の數森洋介(かずもり ようすけ)さんと奥様のめぐみさん、二人で営んでいる。
「店名の由来を教えてください」と尋ねると、數森さんは穏やかに答えてくれた。
「『手と手と』からきています。自分の手と大切な人の手をつなぐ。赤ちゃんの手と地域の人の手をつなぐ、という意味を込めました」
お菓子を通して、人と人がつながる。その思いが、このやわらかな、かわいらしい響きの名前に込められている。

穏やかな語り口で迎えてくれた數森洋介さん。15年のキャリアが、今の店づくりの土台になっている。

15年の積み重ね

「これまでどんなご経験をされてきたんですか?」と質問すると、數森さんはこれまでの歩みについて「兵庫県の出身で、京都の専門学校を卒業したあと、京都の洋菓子店に就職しました。そこで15年間働き、製造責任者も務めてきました」と語ってくれた。
その話す姿は控えめだったが、15年という年月の重みは大きい。責任ある立場で製造に携わってきた経験が、今の店づくりの土台になっている。
そして2023年5月、めぐみさんとともに小浜で独立。取材を通して、お菓子づくりも店づくりも、二人の信頼関係の上に成り立っているのだと感じた。

国産チョコレートや地元の蜂蜜など、素材にこだわったお菓子が並ぶ。まず味ありき、という姿勢が一つひとつに宿っている。

味を最優先に

「お店のコンセプトを教えてください」
この質問に対し、數森さんは「幅広い年代の人に気兼ねなく来てもらえる店にしたいと思っています。敷居は低く、クオリティは高く、ですね」とはっきり答えてくれた。続けて數森さんは、菓子づくりの考え方についてこう話してくれた。
「流行りに乗るというより、日常の中で買いやすい値段で届けたいと思っています。新しい商品を作るときは、まず二人で作って食べてみて、おいしいと思えたらデザインを考えます。国産チョコレートや米油、きび砂糖を使い、宮川の蜂蜜など地域の食材も取り入れています。地域の人に少しでも恩返しができたらと思っています」
味を最優先に考える姿勢と、地域への思いが伝わる言葉だった。

ショコラ 私にとっての衝撃

取材の中で、特に印象に残ったのがショコラの話だ。
「下の土台以外は小麦を使っていません。メレンゲで膨らませて、チョコレートの凝固作用で固めています」と教えてくれた。
一般的にガトーショコラ系のケーキは、生地を安定させるために小麦粉を使うことが多い。チョコレートだけでは形を保つのが難しく、食感を整えるためにも小麦が欠かせないとされている。
しかし數森さんは、このショコラに小麦を使っていないという。チョコレートそのものの力で固めているのだと聞いた瞬間、私は「えっ」と思わず驚いてしまった。ショコラ=小麦を使うもの、という思い込みがあったからだ。小麦を使わず、チョコレートの力だけで仕上げる。その発想は、私にとってとても新鮮で衝撃的だった。実際に口にすると、くちどけがよく、重くない。それでいて満足感がある。
「くちどけは軽いけど、ちゃんと満足感を感じるようにしています。」と語る數森さん。

取材後、ショコラを購入し実食してみた。
數森さんの言葉どおり、チョコレートの濃厚さとフルーティーな生クリームが絶妙にマッチしていて、口に運ぶフォークが止まらなかった。食べ終えたあとも、チョコレートが重たく残らず、すっきりしていた。數森さんの技術と経験のすべてが詰まっている商品であるといえる。

流行に寄らず、味を最優先にし、日常の中で手に取りやすい価格で届ける。そして、お菓子を通して手と手をつなぐ。ショコラを味わいながら、『敷居は低く、クオリティは高く』という言葉に込められた思いを、舌でじっくりと感じることができた。

  • Shop Information
  • てとてとお菓子
  • 〒917-0027 福井県小浜市生守4-22-1
  • TEL:090-1395-1309
  • open 11:00-17:30(売切次第閉店) closed 日曜・月曜
  • instagram: tetoteto_okashi

福井県立大学 山田花音

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福井県立大学 海洋生物資源学部 学生チーム

福井県立大学 海洋生物資源学部 学生チーム 小浜市内の丘の上にある福井県立大学海洋生物資源学部の学生が、小浜のことをもっと知るためにキャンパスを飛び出しました。縁あって全国各地から小浜に集まり、巣まう私たちには、まだ知らない小浜の魅力がたくさんあるはず。“大学生から見た小浜の魅力“を発信します。

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