食卓に息づく、小浜の味「若狭おばま醤油干し」と私のおすすめ
魚の干物は全国各地にありますが、「若狭おばま醤油干し」は、小浜ならではの食文化です。
さばいた鮮魚を醤油だれに漬けて干したもので、焼くと表面は香ばしく、身はふっくら。醤油だれの味や干し加減は、加工するお店ごとに違うので、食べ比べも楽しみです。
この「若狭おばま醤油干し」は、昭和20年代から市内で親しまれてきたと言われています。現在では、サバをはじめ、レンコダイ、アジ、ハタハタ、ノドグロ、カワハギ、フグなど素材の種類が豊富ですが、私が一押しするのが、「アナゴの醤油干し」です。
私が勤務する「御食国若狭おばま食文化館」の近くにある「若狭小浜お魚センター」には、当日水揚げされた新鮮なお魚とともに、各店舗自慢の醤油干しがずらりと並びます。

きれいに開かれたアナゴの醤油干しは、1mを越す大きなものもあり、店頭でひときわ目立ちます。購入したアナゴは、適当な長さに切って焼いて食べるのが定番で、程よい脂と旨味が絶妙な逸品です。天ぷらにしてもおいしく、アナゴにしっかりと味がついているので、天つゆや塩もいりません。
ただ、ひとつ困ったことが。アナゴが、どんなに注意深く焼いても「くるん」と丸まってしまって、きゅっと小さく貧弱に見えてしまうのです。それでは、味が良くて上品なのに、食卓の主役になれません。
そこで、どうすれば「くるん」を回避できるのかを研究したところ、皮目側の背びれに沿うよう縦方向に切れ目を入れると、アナゴは「くるん」とせずに、きれいに焼き上がるのです。発見した時はとても感動しました。
ちなみに、市内の魚屋さんは近海で水揚げされたアナゴのことを「ハモ」と呼び、一般的なハモのことは、「辰ハモ」と呼びます。同じ魚でも地域で呼び名が違うことはありますが、なんとも不思議です。

このアナゴをはじめとした、醤油干しは、地元の人々にとっては身近な食べ物ですが、近年の調査において、小浜特有の食文化であることがわかり、2021年には文化庁の「100年フード」にも認定されました。
100年どころか、その先までずっと繋げていきたい大切な「若狭おばま醤油干し」。私は、お世話になった方々や大切な方に、いろいろなお魚の醤油干しセットをお届けすることが多いのですが、食関連のプロも含めてどのような方にお届けしても「こんなのはじめてだよ!」と大絶賛をいただくこともしばしば。
小浜の人々の日常にある身近な食文化を褒めていただけると、お味だけでなく暮らしぶりも褒められたみたいで、とても嬉しくなります。
まだ、ご存じでない方は、ぜひ「アナゴの醤油干し」からどうぞ。ウナギでもハモでもない“長くて旨い小浜だけの味”の魅力にきっとハマってしまうはずです。
若狭湾から水揚げされる四季折々の海の幸。先人たちが、それらを少しも無駄することなく保存し、美味しく健康的にいただけるようにと、知恵をしぼり工夫を重ねた魚の加工技術は、今回の醤油干しをはじめ、この地域にいくつも継承され、暮らしの中に根付いています。
この連載では、これからも小浜の素敵な食文化とともに、それを大切にする人々の暮らしぶりも、お伝えしたいと思います。


はじめまして!
こちらの記事を読ませていただき、穴子の醤油干し、是非ともいただきたくなりました!
大阪在住なのですが、小浜の方から発送可能な魚屋さん、ご存知でしたら教えていただきたいです。
小浜のお魚センター、何軒かあるのですが、そちらも良さそうですよね。
おすすめがあればよろしくお願いします。
コメントありがとうございます!
若狭小浜お魚センターの店舗でご対応いただけると思いますので、ぜひご連絡されてみてはいかがでしょうか?
https://osakanacenter.com/about/shops/
それぞれのお店で、各々のこだわりがあります。お魚センターでは七輪のレンタルもしていますので、現地で食べ比べして、自分好みの醤油干しを探してみられるのもいいと思います!
早速ありがとうございます!
小浜お魚センター、問い合わせしてみます!
これから寒くなって、また色々なお魚達に出会えそうですね!
楽しみです。