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STORY-はたらく

一膳というもの ~若狭塗「古川若狭塗店」をたずねて~

塗箸産業と漁師のまち、西津。
今では国道162号がメインの通りとなっているが、ぽつりぽつりと商家の並ぶ旧街道は、銀座通りと言われていた。
そこに「古川若狭塗店」4代目の職人 古川勝彦さんの工房がある。

県外でサラリーマンをしていた勝彦さんだが、両親の高齢化と若狭塗存続を危惧し、西津に戻り、家業を継いで13年目となる。
海の底をイメージして作られた若狭塗。
松葉・菜種・貝・卵などの材料を生地にどう配置するか。その微妙な塩梅で、作品の仕上がりが決まる。
「松葉の材料は自分で取りに行きます。私は日陰にある松のほうが、葉が細くて好みです」
師匠であった父のデザインを受け継ぎながら、作るたびに進化させてきた。
「より自然な配置にしたいんです。いかにもここに松葉を置いた、というものはちょっとね」

高価な重箱や木箱とは異なり、箸はたくさんの量を作る。
「塗箸は作る側にとっては数が多いモノではあるけれど、それを使うお客さんにとっては一膳ですから」
一膳の箸に、自然な松葉を感じる。一つの若狭塗には、一つの世界がある。

馬場淳子

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