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箸蔵まつかん ~ブランド価値向上と新たなつながり~

インタビューに答えてくれた「株式会社マツ勘」の松本啓典専務

株式会社マツ勘」は、私が2020年秋から働き始めた会社だ。今回は会社のことを理解するためにも、専務である松本 啓典(まつもと たかのり)氏にインタビューすることにした。ちなみに、松本専務とは保育園からの付き合いで、今回改まってインタビューするのは、なんだか変な感じ…。
「株式会社マツ勘」は大正11年に箸の一大生産地である小浜市で創業を始めた産地問屋。社名の前に『箸蔵(はしくら)』を掲げて「箸蔵まつかん」というブランド展開を行っているが、その意味は、文字通り箸がいっぱい詰まった蔵との意味だ。実際に倉庫は多種多様な製品でいっぱいである。

大量の箸が詰まっている倉庫に迷い込む自分

「これまでマツ勘は品質の高いものを作り続け、お陰様で業界内では高い評価を受けることができてきた。しかし、あらゆる情報を簡単に手にすることができるようになった今日では、消費の有り方が多種多様化しこれまで通りの商売が通じなくなっている。これからのお客さんは商品そのものだけではなく、その先にある会社・そこで働いている人たちのモノづくりに対する姿勢などを選択して購入する時代に入ってきている。そういうことを含めたブランドづくりを行っていきたい」そう話す松本専務の眼差しは、普段友人として接している時とはまるで別人のようだ。

実際にそのようなブランド形成を目指して「箸蔵まつかん」は様々なことに取り組んでいる。その一例がペレット事業だ。ペレットとは燃料の一種で、主にペレットストーブに使用される。箸の木地の加工工程で生まれるおがくずの処理に試行錯誤を重ね、ペレット化することに成功。現在では社内の暖房に活用することに加え、商品として販売している。

箸加工の時に出るおがくずから作った箸の一大産地ならではの「お箸ペレット」

「これまで製造工程上どうしても出てしまう非環境的な部分から、自分たちの業界は目を逸らしてきた。でも、箸をつくり続ける限り排出されるおがくずや端材は、解決しなければならいない課題。エシカル消費の認知が高まっていることもあり、ブランド価値を高めて行く上で、まずこの課題を解決したかった」と、松本専務はペレット事業に取り組んだ理由を説明してくれた。

また、ペレットを販売するだけでなく、木地の端材を地元の窯焼きパン屋や、薪ストーブユーザーに無償で提供したり、端材を利用したピザ窯を保育園に持ち込み、園児に焼きたてのピザをふるまい、地場産業である箸を身近なものに感じてもらうきっかけづくりを行っている。
その他にもテント式サウナや、かまどごはんなどでも端材を活用し、その様子を『かけ箸TV』としてYouTube発信するなど、なんとも多彩だ。

「新たな取り組みが新たな人とのつながりや、新たなアイデアが生むことにつながっている」と、松本専務は話す。こうした一見箸の販売とは異なる取り組みを通じて、商品の背景にある企業の姿勢を伝えていく。これこそが、これから「箸蔵まつかん」を価値あるブランドとして更に認知してもうことにつながって行く。松本専務は、地場産業の未来を真っ直ぐな眼差しで見据えていた。

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大場立春

大場立春

1987年小浜市生まれ。2016年に小浜にUターン。趣味は料理と狩猟。

1987年福井県小浜市生まれ。小中高と小浜で育ち、大学時代を北海道で過ごす。 東京で就職し転勤族を経験するも、第一子の誕生をきっかけに、小浜へのUターンを決意。 2016年より小浜復帰。趣味は主に料理と狩猟。同じく猟師をしていた父、祖父から学んだ自然との関わり方、楽しみ方を自身の子供にも体験させてあげるべく、日々子育てに奮闘中。

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