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若狭和紙職人を訪ねて

芝 三津男さん

小浜市遠敷(おにゅう)地区。古代、若狭国府が置かれ、若狭の国の中心だった場所。今も古い寺社仏閣が多数残るこの歴史深いまちに「若狭和紙の家」がある。

店主の名前は芝 三津男(しば みつお)さん。市内で唯一の若狭和紙職人である。

若狭和紙の歴史は古代に遡る。日本の古代法典『延喜式』には、若狭の国から朝廷へ厚紙を納めていたという記録があるそうだ。だから歴史は1200年余以上ということになる。
また、東京の浅草寺にある雷門の和紙は若狭和紙が使われているというのだから、昔から格式高く重宝された和紙だったことがわかる。

芝さんに和紙職人になった理由を尋ねると、「父から家業を継いだんだよ。」と笑顔で話してくれた。
継いだ当時は、若狭和紙といえば白い紙だけを作っていたそうだが、もっと若狭和紙の用途を広げたいと思った芝さんは、紙を染めたり加工したり、若狭和紙を使って様々なものに挑戦したそうだ。店内を見回すと、色紙や色封筒、ちぎり絵用の染め紙など華やかな作品が並び、壁には和紙で作った兜柄の色鮮やかなタペストリーが飾られている。

色鮮やかな染め紙

店内の作品に目を捕られていると、芝さんが店の奥から若狭和紙の原料という楮(こうぞ)の木の繊維を持ってきてくれた。

「楮の皮の繊維は長いから、丈夫で強い紙ができる。木の皮を剥いで繊維をとるという作業は手間がかかるけど、それが若狭和紙の特徴だよ。」と芝さんは誇らしげに教えてくれた。
実際に繊維を手に取って広げてみると、やわらかく長く伸びる。この繊維が木の皮から採れるとは驚きだ。(なんだか見た目は、おぼろ昆布みたいだった)

若狭和紙の原料 楮(こうぞ)の皮の繊維

小浜市では小学校6年生になると、若狭和紙で自分の卒業証書づくりをする。もちろん芝さん直伝だ。「もう25年近くになるかな。これまで数千人の子どもたちの卒業証書を一緒に作ってきたことになるね。その子たちが大人になって、まぁ、数人でいいから自分で和紙の卒業証書を作ったことを思い出してくれたら嬉しいかな。」芝さんはにっこり優しい笑顔で話してくれた。

SPOT LINK

若狭和紙の家

住所:〒917-0241 小浜市遠敷4丁目406
営業時間:10:00~17:00
定休日:火曜日
和紙作品の販売のほか、和紙漉き体験もできます!

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かんちゃん

かんちゃん

2015年に小浜市に移住。現在は、観光関連の仕事に携わっている。

福井県越前市出身。県外での大学生活、就職を経て、2015年に小浜市に移住。現在は、観光関連の仕事に携わっている。趣味、食べること。白いご飯が大好きで、お酒はそこそこに、ご飯茶碗片手に、小浜の美味しい海や山の幸をいただくのが楽しみ。

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