小浜の夜風に秋を感じたら、『放生祭(ほうぜまつり)』の時期が近づいている証拠。
若狭地域最大の秋祭りである放生祭。後瀬山の麓に鎮座する八幡神社の祭礼として毎年9月(2023年は9月16,17日の二日間)行われています。放生祭という名前は「放生会」という捕らえられた魚や鳥を野に放ち、殺生を戒める儀式から来ているとのこと。
江戸時代の祇園祭礼にルーツを持つ380年以上の歴史ある山車や、大太鼓、神楽、獅子など、24区それぞれの個性的な演し物が最大の魅力。祭りでは、その半分に当たる12区が隔年で演し物を披露。ひとつの祭りで4種類の演し物を観ることができるのは、全国的にも珍しいのだそう。
その放生祭に小さな頃から参加し、今は運営側として関わる祭礼委員の中野貴之さんに、祭りへの思いをお聞きしました。
「元々、自宅が今旭座のある酒井区にあって、祭の時は家の前に屋台などが出て一番にぎやかな場所でした。小さな頃は、その様子をの二階の窓から眺めたり、お囃子の音を聴いたり、参加したり、毎年楽しみでなりませんでした。体に放生祭が染み込んで育ってきたんです」
去年、祭りの最中に見かけた中野さんは、いつもの和やかな雰囲気とは異なり、勇ましく楽しそうに参加されている姿に、声をかけることも憚れる雰囲気でした。
「子どもの頃から祭りが染み込んでいると、大人になって外に出ても、小浜に戻って祭りに参加したいと思うんです。私の周りにも、祭りをやりたくて戻ってきた友人が何人もいます。だから、子どもの頃と一緒で、今でもこの時期が待ち遠しい。でも、今課題となっているのは、そういう原体験をできる子どもが減っているということ。放生祭の対象地区となる旧小浜エリアの子どもは減る一方です」
全国的な少子高齢化は、もちろん小浜市でも例外ではない。地区によって異なるが、昔は男の子だけが参加していた演し物に女の子が参加できるようになり、地区内の親戚関係などの縁のある子どもが参加できるようになり、時代と共に子ども達の参加基準は変わっている。そして、中野さんの地区では、今年から他地区からの参加も可能にするのだそう。
「小浜小学校では、毎年放生祭のことを生徒が調べてくれるのですが、実は3分の2が放生祭に参加できません。校区外であったり、演し物がなかったり。せっかく調べても自分が関係ないのはもったいないですよね。そこで、私が今年PTA会長ということもあり、学校に協力いただき生徒に放生祭への参加に興味があるかアンケートを取らせていただいたんです。すると、7割の生徒が“関心ある”と答えてくれた。これは本当に嬉しかったですね。そして、何かできることはないかと地区外の子どもの参加について、祭礼委員会で提案しました」
地区ごとに子どもの数や参加基準が異なったり、生徒だけではなく親の理解と承諾が必要であったり、7割の生徒全てが放生祭に参加することになったわけではない。しかし、希望してくれた何人かの生徒は、今年いくつかの地区で参加することとなった。
「祭りに参加すること。祭りの原風景を持つことは、まちを好きになるきっかけにもなると思います。形を変えながらでも、この伝統をこれからも続けていきたい。私が毎年欠かさず参加し続けるのは、この祭りが好きだから。本当にそれだけ。でも、これが小浜に暮らす動機の一つになっていることも事実です」
中野さんの思いと実践が、伝統ある祭りに新たな一歩を加えた。何事も変化しながらでなければ継続することは難しい。地蔵盆が終わり、各地区では稽古が始まっている頃だろう。祭りの2週間前には、小浜のまちに稽古の音が流れ始める。夜の散歩も一層気持ちが良いはずだ。
9月16日(土)と17日(日)の二日間。中野さんのオススメは、2日目の13時頃から旭座前で予定されている「集結共演」。出番12地区の演し物が集結します。
ぜひ、小浜に巣まいたくなるかもしれない、ここだけの体験「放生祭」をご堪能ください!
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