北前船の繁栄をつなぐ帆布

神体船「金比羅丸」に帆をかける桑田社長

みなさんは、小浜が北前船寄港地として日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」に認定されていることをご存知だろうか?

古くから日本を代表する港町として海と都をつないだ小浜。江戸時代中頃からは、北海道と大阪を往復して商売を行った北前船の主要寄港地として栄え、船主として巨万の富を得た商人をも生み出している。今年、北前船船主であった古河屋の迎賓館であるGOSHOENが整備・公開されたことで、北前船の聖地と言っても過言ではない小浜の繁栄を知られた方も多いかもしれない。
そんな新たな機運が芽生える中、北前船の技術を引き継ぐ「桑田テント株式会社」を訪ねてみた。小浜市内に暮らす人は、さまざまなイベントを実施する際、テントを含む会場設営でお世話になったことがある方は多いのではないだろうか。しかしながら、そのテントの製造技術が、船の帆布製作に由来することは、あまり知られていない。

桑田テント製作の帆布に風を受け小浜に入港する復元北前船「みちのく丸」2011年

「近年復元された北前船の帆や、日本を代表する帆船である日本丸や海王丸の帆はすべて自社で製作したものなんです」と、誇らしげに教えてくださるのは社長の桑田博敏(くわだひろとし)さん。社内には桑田テントが帆の製作を手がけてきた復元北前船や帆船の写真が展示されており、思わず見入ってしまう。まさに港町小浜の歴史を刻む会社だ。

「いいものを見せてあげよう」という桑田さんの言葉に誘われ、小浜市が実施する展示会「小浜商人と北前船船主 古河屋嘉太夫」の準備の場に同行させていただいた。そこには、かつて船大工自らが作り、船主たちが航海の安全を願い神社に奉納した、精巧な北前船模型があった。

小浜の北前船船主 古河屋が金比羅神社に奉納したと伝わる「金比羅丸」

「このような北前船模型を作るところは全国的にも数少ないです。そして、この模型自体を神様として社にお祀りするということが小浜ならではですね。」

ご神体である船模型を丁寧に扱う桑田さん


帆を張りながら、大切そうに船を扱う桑田さんがさらにポツリと言った。
「日本の宝だね」桑田テントが紡いできた北前船の歴史を共有し、日本の宝として発信していきたい。荒波を乗り越えた北前船のように、帆布に風を受けて、小浜の新しい未来に漕ぎ出していくために。

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若狭坊
福井県小浜市生まれ。小浜市在住。奈良で過ごした大学時代に実験歴史学に触れ、旧街道を江戸時代の服装で調べながら歩く伊勢参りや、江戸時代のからくり玩具の復元、遺跡の発掘調査などを経験。帰郷後、文化財や食文化という小浜市の最上級ブランドをどのようにまちづくりに繋げるかを命題に活動し、プライベートでは絶滅危惧種の「山伏」として野山と社寺を駆け回っている。