若狭と京都を結ぶ旧鯖街道の宿場町として、歴史的な街並みを色濃く残す熊川宿。伝統建造物群保存地区に建つ築160年以上の古民家を改装し、地域の良さを“給食”を通して伝える『給食カフェ はな結』。店主の石倉怜菜さんは元学校栄養士。小浜市の小学校などで学んだ経験を生かし、次の世代が地域を学び、つながる場を作り出した。
-リノベーションのきっかけは?
元々、飲食関連のお店をすることが夢で、福井県立美方高等学校の食物科で調理師免許を取得しました。短大を卒業して料理修行をしたかったので、就職活動では料亭などを受けていたのですが、一旦地元に帰ることに。そんな時、たまたま産休に入る小学校の栄養士さんの代わりがいないということで誘っていただいたんです。でも、私としては栄養や教育といった仕事は大変苦手分野で(笑)何が何でも断りたかったのですが、1年間だけという条件で渋々引き受けました。そうしたら、その栄養士さんに二人目が生まれ結局4年間お休みされることになって、なんだかんだと9年間。その頃には、栄養教諭として働いていきたいという気持ちもあったのですが、自分のお店をやりたいといいう気持ちも捨てきれませんでした。どうせ後悔するならやって後悔したい!という気持ちに押され、20代のうちに動き出しました。
-物件との出会い
滋賀県も含めて40軒以上見たのですが、どこもなんとなく違ったんです。地元ではない場所でお店を開きたいと思っていたのですが、役場の空き家担当の方から熊川宿を紹介されて、とりあえず今の物件を見に行きました。そうしたら、外観を見てなんだか惹かれるものがあったんですよ。「ここの物件って借りられるんですか?」なんて、自然と口から出てしまって。
-改修はどのように実施しましたか?
家主さんが8年前くらいに外観だけ直されていたのですが、中はボロボロ。柱もシロアリにやられていたので、壁の内側にもう一本柱を立てたり、家の中に家を建てたような感じになりました(笑)だから、改修費は想定の3倍…。資金は基本的に自己資金と一部に空き家活用の補助金等を使いました。
-大切にしていること
人と地域が食でつながる場所にしたいと思っています。一文字で表現すると店名でもある「結」。自分自身のことでは、経験を生かすことが一番大事だと思っています。全国にもいっぱい調理員さんはいますが、学校栄養士の時のつながりや地場産食材を伝えることを企画にしたり。“自分にしかできないこと”と“ここにしかないもの’を意識してやっていくことを大切にしています。
-未来
10年後、地元にいてもいなくても、地元の良さを伝えていける子どもを一人でも増やしていきたいというのが私の夢です。こちらから与えるのではなくて、食に関わる生産者や食材を通して、まちのことを学んで欲しい。それで、引き出しのジャポニカ学習帳に学んだことや感動したことを書き込んでもらって、10年後に見返したりしたら面白いじゃないですか。
熊川宿は、まちおこしをしているメンバーがたくさんいるので、そういう人に気軽に相談できることがありがたいです。一人だったら、ここまでできていません。物件が決まってからは、本当に地元の人たちに助けてもらっています。あんなに嫌だと思っていたのに、今ではこのまちの魅力をもっと伝えたい。熊川でよかったです(笑)
Information
「鯖街道熊川宿」にある築160年以上の古民家を改装し、店内は懐かしい学校の教室風にリノベーション。人・食・地域を結ぶ「つながり」をテーマに、地場産物を活用した学校給食メニューを提供。献立は、実際に保育園や小中学校で勤務した元栄養教諭が作ります。花屋も併設し、ユニークな空間が楽しい。
WAKASA RENOVATION STANDARD
STANDARD-04 給食カフェ はな結
〒919-1532 福井県三方上中郡若狭町熊川38-25
TEL 070-1066-6161
WEB http://kyuusyokucafehanayui.com
営業時間 11:30-16:00
定休日 水曜日・木曜日
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