小浜湾に面する「人魚の浜」を正面に眺めるいけす割烹「雅」。ここは小浜の新鮮な魚介類を最高の形で味わうことができる場所だ。
屋根に瓦、入り口の前の照明には「雅」の文字。店に入ると水槽とカウンターの前に大きないけすがある。畳の間は個室となっており、外観、内装ともに風情がある。店内に入ると、どこか遠くに来たような非日常を体感できる。
店内の水槽では、小浜漁港であがった新鮮なトラフグやタイなど季節に応じた魚介類が群泳している。店内には大きな生けいけすもあるが、現在は老朽化のためメンテナンス中。
いけすを店内に作ったのは、不漁の際にも新鮮な魚介類をお客様にお出しするためと店主の友本正己さんが教えてくれた。おおい町出身の友本さんは、おおい町で飲食店を経営している際、県外からのお客様に、「市場が休みで新鮮な魚介類が食べられない」と言われ、なんとかならないかと考えたそうだ。
福井の名物であるフグやカニをいつでも、一人でも多くのお客様に存分に味わってもらいたいとの気持ちから、いけすを設置し、おおい町よりも人口が多い小浜市で「雅」を開店した。
「雅」は、全国有名百貨店に出店を行い、鯖寿司や浜焼さば寿司、フグ料理の実演販売も行っている。出店の際には自らの手で真空瞬間冷凍を行い、大きな冷凍庫で保存することで、鮮度を重視して販売しているそうだ。
出店の話で驚いたのは、全国各地で出店を行うために、都道府県ごとに異なった試験を設けられているフグの免許を福井県、東京都、大阪府の三つの都府県で取得していること。そうすることで、全国どこでもフグの解体を直接見せることができ、素材の鮮度をアピールできるのだ。
「雅」では、地場食材を中心に提供しており、店舗での料理はもちろんのこと現在小浜市で実施している「おうちでごはん」企画などにも登場しているテイクアウトメニューも食材への配慮は抜かりない。
コロナウイルスの影響により小浜市で岩ガキの水揚げが中止され、岩ガキが仕入れることができず提供を中止した時期もあった。これは「他の地域の岩ガキもあったけど、地元のものを特に提供したかったから」と語っていた。
小浜に住んでいる地元の方、他の地域から観光でやってくる方もぜひ、地元の新鮮や魚介類を最大限に活かした「雅」の料理をご堪能ください。
取材:福井県立大学 福智隆史 河野真暉 矢野幹季
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