小浜市人魚の浜から少し歩いたところにある手作りチーズ工房 ラヴェリタ。ここでは若狭の食材を活かした料理を味わうことができる。私はそんな手作りチーズ工房La Veritaを取材してきた。
お店につくとシェフの杉崎由浩さんが「Boun giorno(イタリア語でこんにちはの意味)」などのイタリア語で冗談交じりに迎えてくれた。
シェフは出身地である小浜市で、広く名の知れた店をつくりたい。それが結果として町おこしに繋がればいいという思いからお店を始めたそうだ。
そこで私には1つ疑問が生まれた。では、なぜチーズのお店なのだろうか。正直、小浜が酪農で盛んなイメージはなく、町おこしという趣旨に反しているように感じられた。するとシェフはこの疑問に対してこう答えてくれた。
「職人は、地域にあるものを活かすことが仕事で、衰退している救うべき産業があればそれを救うことが大切だ。昔は酪農をしているところが若狭にもたくさんあったが、今はほとんどなくなってしまった。私はここ(酪農)をなくしてはならないと思い、チーズをメインとした店を出した」この話を聞いて、町おこし と チーズ という単語を頭の中で結び付けることができた。
下の写真は店内(一部)の写真だが、普通の飲食店には置いてある“あるもの”がないことにお気づきだろうか?
そう、メニューがないのである。ここではコース料理のみが提供されており、決まったメニューは存在していない。なぜこのような形態を取っているのか聞いてみた。
「メニューがないのは、その日に地元で採れた新鮮な魚や野菜を食べてもらいたいという思い、そしてコース料理でのみの提供はいろいろな食材をバランスよく食べて健康になり、これまで・これから・そして今日生きているということを実感してほしいという思いから、このような形態を取っている」とシェフは答えてくれた。
みなさんもぜひ、このような、地元そしてお客様への強い想いを持った、ユーモアのあるシェフがいる手作りチーズ工房La Verita に足を運んでみてはいかがだろうか。
取材:福井県立大学 福智隆史 河野真暉 矢野幹季
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